クラシックのオーケストラ録音の雑感です。
私は楽器の音色は、楽器そのものと人間の耳との間の空気感の重要性を、とても重要に思っています。
特にクラシックの場合、それは顕著であると思います。
楽器によってかなり差異はあります。
例えば、ピアノなどのように、昔からサロンやレッスン室などで演奏される楽器においては、あまり空気感は必要ではないかもしれません。
しかし、オーケストラは違います。
その音楽を聴くにふさわしいホールや距離が、音楽の本質に必要であるような気がしています。
TV放送で頻繁に聴かれるような、マルチマイクの録音では、かなり空気感が損なわれている気がしてならないのです。
もちろん、個人の好みでしかありません。
日本の某国営放送局では、所有ホールでのオーケストラ録音時におけるマイクの位置がある程度決められているそうです。
しかし、その放送を耳にするにつけて、マルチマイク前提の音作りが優先されている気がしてなりません。
そもそもマルチマイクは、1本のマイクでは収録しきれない音を補助するために発達したものです。
現在のマイクアレンジでは、マルチマイクのためのマルチマイクになってしまっているような気がしてなりません。
実は、今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートを聴いて、その印象を強く持ちました。
ヨーロッパですらそうなんだ!
もはや、空気感を大事にする録音は、時代遅れなのかもしれませんね。
でも私は、自分の録音においては、楽器と人間の間にある空気感を大事に思う録音をしたい、と思いました。
年初における所感でした。